雑観/美術-18 光と影の舞うステージ

変人の暮らしと、少々毒のある雑観です.

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上野に行ったら、美術館に行かなくても、できるだけ立ち寄ることに

している「カフェ・レストラン」があります。

国立西洋美術館の中にある「Café すいれん」です。

美術館の観覧チケットがなくても入店できます。


店内の雰囲気、美味しい料理で、ファンの多い「Café」です。

しかし私には、別の楽しみがあります。

「中庭」を眺めるのが好きなのです。


18-1a.jpgスクリーンショット 2020-05-07 17.03.21.png18-1b.jpg








(左/註01) 本館は国指定の重要文化財です.

(右/註02) 美術館内では、ホールの円柱も芸術作品の彫像に見えて

 しまうのが不思議です.

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美術館の本館は、ル・コルヴィジェの基本設計、坂倉準三・前川國男

・吉阪隆正の監理により、1959年(昭和34)に竣工しました。

大体「45m」四方の正方形平面の建物です。


新館は前川國男が設計し、本館との間に約「32mx25m」の長方形の

「中庭」を囲むようにして増築されました(1979年[昭和54])。


新館の南側部分の「中庭」に面した部分は、2階がテラスです。

ですから「Café」から見る「中庭」は空が少し開けて見えます。

高い壁に囲まれた狭い空間によくある、圧迫感や閉塞感がないのです。


「中庭」は、低い植木の中に、ケヤキ、イチョウ、クスなど、大きな

樹木が数本立ち、自然の緑の高低の対比がよく調和しています。

そして、その自然の緑と、人工のタイルやコンクリートとも、様々な

方向から見てバランスよく見えます。


18-2a.jpgスクリーンショット 2020-05-07 17.03.21.png18-2b.jpg







(左) 常設展(新館)の出口付近で撮った中庭です. 画面の奥が新館の

 2階テラスです. 中庭は綺麗に整備されていますが、私は枯葉が

 少し落ちている方が落ち着きます.

(右)「Café」の中で撮った中庭です. 窓枠が「絵」の額縁になって

 中庭の景観が縁取られ、より絵画らしく見えます. 2階テラスの

 右端に階段(避難用)があるので、テラスは舞台のステージのように

 見えます.

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入店すると、「中庭」に直面したテーブルに案内してくれます。

混んでいる時は、奥の方のテーブルになりますが、それでも「中庭」

は十分に鑑賞できます。


「中庭」を眺めていると、楽しい気分になります。

自分が劇場にいて、妖精が舞踏する舞台を見ているような気分になり、

見てて飽きないのです。


新館の2階のテラスは、舞台のステージのような空間です。

テラスの背後のタイル壁が、ステージの書割(背景)です。

演技するのは、光(木洩陽)、影、木の葉など...動いている自然物です。

オーケストラは風...自然の演奏です。


18-3a.jpgスクリーンショット 2020-05-07 17.03.21.png18-3b.jpg








(左/註03) 装飾のない平坦な壁ですから、中庭の自然を映し出します.

(右/註03) 新館2階テラスから見た中庭は、眺望するための景観では

 ないように見えます.

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光、影、木の葉が妖精になって、風のリズムに乗り、書割に描かれた

梢に絡むようにして、舞踏しているように見えます。


様々な衣装を纏った妖精たちの「舞」は、見てて飽きません。

人に見せようとして舞うのではなくて、自然の変化に素直に反応して

いるだけなのですが、その動きが美しく見えるのです。


しかし、一見して、リズムは不規則だし、舞踏はパラバラです。

派手に動く妖精もいれば、微笑んでいるだけの妖精もいます。


でも、しばらく見ているうちに、不規則でも不統一でもなく、それが

大きな「自然の律動」の一部であるような気がしてきます。


18-4a.jpgスクリーンショット 2020-05-07 17.03.21.png18-4b.jpg







(左/註04) 新館1階の常設展ギャラリーから見た中庭は、「Café」

 から見た景観に比べると、閉鎖的な印象を強く感じます.

(右) 1階のピロティ部分が暗いので、上階の壁面の量塊が浮いている

 ように見えます. 壁面はマッシブですが、大開口のガラス面に空が

 映っているので、一枚の壁のようにも見えます. ですから、上階に

 鈍重感はありません.

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私はバレーやオペラに疎いのですが、妖精たちの「自然の舞」は長い

時間鑑賞していたいと思います。

「Café」のスタッフには申し訳ないのですが、一杯のコーヒーだけで

ついつい長居してしまいます。


この楽しみを女房と共有しようと思い、よせばいいのに話したことが

あります。

「あそ...葉っぱも影も、どこにもあるんだけどね...」と無反応です。


やはり、このテの楽しみは、独占しておくべきかな...と思いました。

「秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず」(世阿弥)の意味を変形

して、そっと呟きました。


200930

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以下のサイトの画像を加工しています.

(註01)「Yahoo!ライフマガジン」

https://lifemagazine.yahoo.co.jp/articles/7709

(註02)「猫アリーナ」

http://nekoarena.blog31.fc2.com/blog-entry-435.html

(註03)「哲建ルンバ」

https://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_2.html

(註04)「できる時だけの写真日記3」

https://blogs.yahoo.co.jp/atakek5_7_20d/14137631.html

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