雑観/世相-43 「La vie en rose」

変人の暮らしと、少々毒のある雑観です.

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女房と中二のオマセの孫娘が、シャンソンの話をしていました。

エディット・ピアフの唄う「バラ色の人生」が話題になり、「人生が

バラ色に見えるってこと...素敵ね...」で盛り上がっていました。


私も、別の意味ですが、その曲は好きです。

ピアフの唄を聴くと、気分がバラ色になるどころか、私は逆です。

男と女が愛し合う深層に、深い隔たりと哀愁を感じます。


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 (註1)

 ピアフの写真には、刹那的な

 華やかさと、切ない孤独感が

 同時存在しているような気が

 します.






□□□□□

「La vie en rose」は、エディット・ピアフ(Édith Piaf/1915-1963)

が、1946年の「パリ開放」直後に発表した唄です。

ピアフ(Piaf)は「小さな雀」という意味の愛称、本名は、エディット

・ジョヴァンナ・ガション(Édith Giovanna Gassion)です。


「La vie en rose」は彼女の作詞作曲ですが、登録手続き不備のため、

作曲者にルイ・グリェーミュ(ルイギ)の名を借りています。


当初は、作曲をマルグリッド・モノー(「愛の讃歌」の作曲者)に依頼

しましたが、歌詞が「くだらない」という理由で拒否されています。


どうして、ピアフの歌詞が「くだらない」のか...。

実は、歌詞は、ピアフとイヴ・モンタン(Yves Montand/1921-1991)

との愛欲生活の赤裸々な状況を説明する内容なのです。

これがモノーが不評とする理由であるようです。


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 (註2)

 「La vie en rose」は

 この二人の愛人関係を

 唄ったシャンソンです.





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1944年、パリのナチ占領下時代、ピアフ(29歳)はモンタン(23歳)を

発掘し、師弟関係以上に深い愛人関係になりました。

1946年、ピアフは一途な愛を「La vie en rose」に表現しました。


同年、モンタンは「枯葉」を唄って大スターになり、そして、二人の

関係は終わりました。


ピアフの身長は142cm、モンタンは187cmの長身です。

人気者になったモンタンにとって、6歳年上で身長差45cmのおチビ

さんよりも、若くてグラマーな女性に目が行くのは当然でしょう。


もしかしたら、モンタンは才能ある魅力的な男性ですから、ピアフは

彼を束縛しない方が良いと考え、自ら退いたのかも知れません。


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 (註3)

 カフェでアコーディオンを

 弾く、21歳のピアフです.






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ピアフは、2度の結婚を経て、1963年に死去しました(47歳)。

翌日、ピアフの死を知ったジャン・コクトー(詩人/ピアフの親友)は、

ショックを受けて自室で心筋梗塞により急死しました。


パリ大司教はミサを許可しませんでしたが、ピアフの葬儀には多くの

ファンが訪れ、パリの交通が停止したと言われています。


ピアフはパリの貧しい街で生まれた、ストリート・チルドレンです。

幼少期は貧しい両親(父は大道芸人、母はカフェの歌手)から売春宿を

経営する親戚に預けられ、娼婦たちの間で育ちました。

16歳のときは出産と、乳児を亡くす悲しみも経験しました。


20歳の頃からクラブで唄い、ナチ占領下ではレジスタンスに加担し、

36歳頃からは怪我の痛みを癒すためのモルヒネ中毒で苦しみました。


ピアフの生涯は、シャンソンの他に、年下の男性との恋愛遍歴の集積

ですが、それは彼女が好色だったからではないと思います。

満たされなかった母性愛を取り戻そうとする、本能的な生き様だった

と思います。


ピアフの唄い方に感じられる、哀しみ、強さ、弱さ、儚さと希望は、

その生き様から自然に滲み出る「人生の味」なのかも知れません。


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 (註4)

「La vie en rose」は、

「貴方といれば幸せよ」

 と言っているに過ぎない

 愛慾の唄です.

 しかし、懸命に人を愛し

 生き抜いた人生は魅力的

 だと思います.



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「La vie en rose」は、邦題では「バラ色の人生」です。

しかし、フランス語の文法にも詳しくないのですが、「en rose」は

「バラ色の~」ではなくて「ピンク色の~」が正しいようです。


「バラ色」は「Couleur rose」と訳し、「バラ色の人生」は「La vie

rose」と訳します。


つまり「La vie en rose」は「ピンク色の生活」が正しいようです。

「La vie en rose」は、イヴ・モンタンとの情熱的で一途な、そして

気怠く刹那的な情事を、隠さずに綴った唄ですから...。

「将来はバラ色の人生だ」と唄っているのではない、ことは確かです。


ただし、ここでいう「ピンク色」には、卑猥な意味はありません。

お金や名声、明日のことより、目の前に彼がいてくれるだけで人生は

満ち足りる、「その場限りの幸せ」にいつまでも酔っていたいという

意味を含む「ピンク色」です。


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 (註5)

 1958年のピアフ(43歳)と

 ムスタキ(24歳/ピアフの

 左側)です.






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「今の幸せは、いつかは儚く消える」と「本当の孤独」を知っている

ピアフが唄う、そうした意味で、私は「La vie en rose」は好きです。


ピアフの唄う「La vie en rose」は、個人的には、イヴ・モンタンの

唄う「枯葉」より、ジョルジュ・ムスタキの唄う「私の孤独」の方に、

親和的であるような気がします。


ムスタキも、ピアフとは20歳の差がありますが、1957年から1年間、

恋愛関係にありました。

援助が必要な、才能ある若い男性には、どこまでも優しい女性でした。


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以下の画像を加工しています.

(註1)「pinterest」

 https://www.pinterest.fr/pin/378513543651152839/

(註2)「朝倉ノニーの<歌物語>」

 http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-337.html

(註3)「twitter」

 https://twitter.com/frenchhist/status/1176618393925050368

(註4)「pinterest」

 https://www.pinterest.co.uk/pin/612982199263228144/

(註5)「gettyimages」

 https://www.gettyimages.co.jp/detail/ニュース写真/on-september-6-edith-piaf-with-georges-moustaki-and-the-ニュース写真/105215955

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